カカオ豆の個性を楽しむ!ビーントゥバーチョコレートの多様な味わい

カカオ

この記事を読むとビーントゥバーチョコレートの概要がわかります。

チョコレートの新しい波であるビーントゥバーについて理解を深めましょう。

ビーントゥバーチョコレートとは?

ビーントゥバーチョコレートとは、原材料のカカオ豆から板チョコまで一貫して製造する製法のことです。

豆からチョコレートバー(板チョコ)まで作るので、ビーントゥバー(Bean To Bar)と呼びます。

カカオ豆の焙煎からチョコレートの成型まで個人や小規模なお店が手作りで行うことが多いので、クラフトチョコレートと呼ばれることもあります。

ふつうのチョコレートとの違い

言葉だけみると、ふつうのチョコレートとの違いが分かりにくいかもしれません。

ビーントゥバーではないチョコレートを作る場合、クーベルチュールという製菓用チョコレートを原材料にします。

クーベルチュール
クーベルチュール

クーベルチュールは一次加工メーカーが製造するので、これらを原材料にしたチョコレートの味や風味が似通ってしまうという欠点がありました。

一方、ビーントゥバーチョコレートはカカオ豆の仕入れと焙煎から行うため、フレーバーの多様性を表現しやすくなっています。

味の違いは?

消費者の立場から、一番気になるのは味の違いだと思います。

ビーントゥバーチョコレートとふつうのチョコレートの味の違いは、カカオ豆の個性が強く出ている点甘さが控えめな点の2つが大きな特徴です。

カカオ豆の個性が強く出ている

カカオ豆にはシトラスや焙煎されたナッツ、コーヒー、微かな革のような風味、タイム、キャラメリゼされたベリーなど多様なフレーバーがあります。

カカオ豆が持つフレーバーは生産地や品種によって異なります。

さらに、焙煎工程によって強く出る味や風味は変わります。

ビーントゥバーチョコレートでは、そのようなカカオ豆の個性を強く表現することに力を入れます。

甘さが控えめ

ふつうのチョコレートに含まれるカカオの割合が30~40%であるのに対し、ビーントゥバーチョコレートのカカオの割合は60~80%です。

これは前述の通りカカオ豆の個性を強く出すことが目的なのですが、代わりに砂糖の含有率が低くなっています

なので、ふつうのチョコレートと比べるとビーントゥバーチョコレートは”甘くない”という感想を持たれることが多いです。

ビーントゥバーチョコレートの歴史

起源

ビーントゥバーチョコレートの起源は諸説あるのですが、1990年代後半~2000年代初頭のアメリカが発祥であることは間違いありません。

最初にビーントゥバーチョコレートを始めた店のひとつに、シャーフェン・バーガー・チョコレートメーカー(Scharffen Berger Chocolate Maker)があります。

シャーフェン・バーガー・チョコレートメーカーは1996年に、元医師のロバート・スタインバーグと元ワイナリー経営者のジョン・シャーフェン・バーガーの手によってカリフォルニア州で設立されました。

彼らが革新的だったのは、それまでの大量生産されていたチョコレートとは異なり、カカオ本来の個性を強く打ち出したチョコレートを作ったことです。

シャーフェン・バーガー・チョコレートメーカーの創業者たちのように、初期のビーントゥバーチョコレート業界を支えたのは製菓業界ではない他業種から参入した人々が中心でした。

普及

2010年頃にはアメリカでビーントゥバーのブームが起こりました。

ブームの火付け役となったのは2007年創業のマスト・ブラザーズ(Mast Brothers)というチョコレートメーカーです。

2017年時点でアメリカでビーントゥバーを扱うチョコレートメーカーの数は300を超えています。

アメリカから世界へ

2010年代後半にはビーントゥバーの波はアメリカ以外に、ヨーロッパや日本にも広がっています。

日本で最初のビーントゥバーの専門店がオープンしたのが2014~15年ごろです。

近年では都市部を中心にビーントゥバーチョコレートのお店が増えてきています。

一説では、現在100ほどのブランドが日本に存在するようです。

ビーントゥバーチョコレートができるまで

ビーントゥバーチョコレートができるまでの工程は、カカオ豆の原産地での工程とビーントゥバー・メーカーでの工程に分かれます。

カカオ豆の原産地での工程

原産地での工程

収穫

カカオの木は、おもに赤道の南北緯20度以内の熱帯地域で育ちます。

年2回カカオの木はカカオポッドを実らせます。

カカオポッドの中には白い果肉と複数のカカオ豆が入っています。

カカオポッド
カカオポッド

カカオの生産者は、このカカオポッドを収穫します。

発酵

収穫されたカカオポッドを割って、中のカカオ豆を取り出します。

カカオ豆を箱の中に詰めてバナナの葉などで覆って発酵させます。

発酵では微生物の反応によって独特の味や風味が生成されます。

意外に思うかもしれませんが、チョコレートのフレーバーには発酵が寄与しています。

乾燥

発酵されたコーヒー豆は天日で乾燥させます。

水分が抜けて保存に適した状態になると、消費国に輸送されます。

ビーントゥバー・メーカーでの工程

ビーントゥバー・メーカーでの工程

選別・異物除去

生産国から届いたカカオ豆の中には石やトウモロコシなどの異物が混入していることがあります。

また、カカオ豆自体にカビが生えていたり、未成熟な豆が含まれる場合もあります。

そういった異物を除去し、欠点のある豆を取り除くために選別作業を行います。

小分けで販売されているカカオ豆を購入する場合、選別や異物除去は小分け時に行われていることが多いので省略することも可能です。

焙煎

カカオ豆に熱を加えて、好ましい味や香りを引き出す工程が焙煎です。

焙煎はビーントゥバーチョコレートのフレーバーを最も大きく左右するので、ビーントゥバー・メーカーはそれぞれ独自の工夫と努力をしています。

粉砕・外皮除去

カカオ豆の外皮を取り除いて、胚乳だけを取り出す工程です。

大量に処理する場合は、カカオ豆を砕いた後で送風機で風を送って外皮のみ除去します。

外皮と胚乳では比重が異なるため、外皮のみ効率的に取り除くことが可能です。

ごく少量の場合は、手で外皮を剥いて取り除くことも可能です。

摩砕・調合

カカオ豆の胚乳を細かく擦りつぶして液状のチョコレートを作ります。

擦りつぶす時間が長いほど、出来上がるチョコレートの口触りは滑らかになります。

液状のチョコレートに砂糖などの添加物を加えて、よく混ぜます。

調温(テンパリング)

チョコレートが常温で溶けずに保存可能になるよう、結晶構造を揃える工程が調温(テンパリング)です。

テンパリングしたチョコレートは見た目もきれいで、かじったときにパキッとした心地よい触感が楽しめます。

成型

液状のチョコレートを型に流し込んで板チョコに成型します。

冷蔵庫でしばらく冷やすとチョコレートが固まり完成です。

ビーントゥバーチョコレートを味わえるお店

東京周辺でビーントゥバーチョコレートを味わえるお店を紹介します。

値段の相場としては板チョコ1枚(約50g)が1000~2000円ぐらいです。

ダンデライオン・チョコレート

アメリカのビーントゥバーチョコレートのお店。

日本では東京に3店舗を展開しています。

アメリカ発のブランドだからか海外からのお客さんも多いです。

Minimal

東京に4店舗を展開する日本のビーントゥバーチョコレートのお店。

ECサイトにも力を入れていて時期によって様々なキャンペーンを実施しています。

定期的にチョコレートの手作り体験ができるワークショップを開催しています。

Tribal Cacao

千葉県柏市のお店。

このお店の特徴は板チョコのサイズ展開が豊富なこと。

特に5gの板チョコは職場などでの手土産にぴったりです。

まとめ

ビーントゥバーチョコレートとは、カカオ豆から板チョコまで一貫して製造する製法です。

ビーントゥバーチョコレートはアメリカで始まり世界に広がりました。

日本でも都市部を中心にビーントゥバーのお店が増えてきています。

ビーントゥバーチョコレートの世界を体験してみましょう。

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